この記事の監修者

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:土地の境界確定や不動産の表示登記全般。

経歴:開業以来21年間、土地の境界確定など登記関係業務を行っています。
土地家屋調査士のプロフィールはこちら

「土地の境界線の立会いは、何か準備が必要?」
「必ず立会った方が良い?」
「土地の境界線の立会いに際し、注意点とかアドバイスは?」

土地の境界線の立会いについて、
この様な疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、土地境界線の立会い当日にテーマを絞り、
土地境界線の立会い時の7つの注意点について、
土地の境界確定業務を行っている土地家屋調査士が解説致します。

スポンサーリンク

この記事をすべて閲覧することで、立会いが初めての方でも、
土地境界線の立会い時の注意点がわかります。

【この記事の内容を動画で見る】

この記事と同じ内容を、【動画】でも観て頂けます。
記事を読みたい方は、このまま下に読み進めて下さい。

立会日時に遅れないこと。

当たり前のことですが、立会い日の時間には、
遅れないことが大切です。

土地の境界線の立会いには、隣地所有者も来ることが多いので、
立会い前に待たせてしまうと、人によっては、
その後の境界の立会いにも影響することがあるからです。

時間に遅れて待たせてしまうことで、将来に渡って、
境界の確認や境界の確定に影響が出てしまうと、
お互い良くありません。

もし、今回の境界の立会いが隣地所有者からの依頼であっても、
境界点や境界線の合意ができなかった場合、
将来的には、境界立会いをお願いする立場になることもあるからです。

ご自分の代ではそのようなことが無いとしても、
土地の境界問題というのは、
お子様やお孫様の代まで影響する可能性も考えておくべきです。

そのため、時間に余裕をもって出発し、
遅くとも、立会い時間の5分か10分前には現地に到着して、
現地の下調べもできる感じが良いでしょう。

交通状況などやむを得ない理由が発生して、
どうしても時間に遅れるようであれば、
立会いに来る土地家屋調査士などに、その旨の連絡を入れると良いです。

もし、連絡することができない場合には、
立会関係者には、時間に遅れた理由などを、
真摯に説明するようにします。

なお、立会時間に遅れたとしても、
必ず境界の立会いに行くことが大事です。

なぜなら、ご自分だけでなく、将来、お子様やお孫様の代で、
こちらから境界立会いをお願いする立場になった時に、
今回立ち会わなかったことが影響することもあるからです。

できる限り、境界に関する資料を持参すること。

土地の境界線の立会いでは、何か準備が必要だったり、
何かを持参しなければならないといった決まりは特にありません。

しかし、各境界点や境界線の現地確認をスムーズに行うため、
各境界点の根拠になりうる境界に関する資料を、
できる限り持参した方が良いと言えます。

各境界点の根拠になりうる境界に関する資料とは、
具体的には次の書類のことです。

  • 測量図面付きの境界確認書(筆界確認書)
  • 隣接境界線証明書
  • 公図
  • 地積測量図
  • 過去に地籍調査が行われていれば、地籍調査成果図
  • 過去に区画整理が行われていれば、区画整理に関する図面
  • 過去に隣地所有者と境界に関する覚書のような書面など

これらの書類の内、境界確認書や隣接境界線証明書、
区画整理が行われていれば区画整理に関する図面、
隣地所有者と境界に関する覚書のような書面などがあれば、
必ず持参するようにしましょう。

なぜなら、境界の立会いに土地家屋調査士も来る場合、
公図や地積測量図、地籍調査成果図などは、
土地家屋調査士が最新のものを持参するのが通例だからです。

ただ、土地家屋調査士といえども、
個人のみが保管している図面や資料は入手困難なため、
できる限り、境界に関する資料は持参しておいた方が良いです。

ちなみに、地積測量図とは具体的にどんな図面か、
地積測量図の見方や取得については、
地積測量図とは?地積測量図の見方と取得」を参照ください。

原則、土地所有者(登記名義人)本人が立会うこと。

土地の境界線の立会いには、原則、
土地の登記名義人本人が立ち会うべきです。

土地所有者(登記名義人)本人

なぜなら、土地の境界線の立会い時には、
土地所有者(登記名義人)本人かどうかの確認のため、
通常、土地家屋調査士によって本人確認が行われるからです。

そのため、運転免許証または個人番号カードなど、
顔写真付きの身分証を1点持参しておきましょう。

なお、以前から面識があるなどの場合には、
本人確認が省略されることもあります。

また、どうしても本人が行くことが難しい場合には、
委任を受けた代理人が立ち会うことも可能です。

しかし、代理人が立ち会った場合、
土地所有者本人の認識と違っている部分があったり、
あとあとスムーズに進まない可能性もあります。

そのため、可能な限り、土地の登記名義人本人が立ち会って、
各境界点及び境界線の確認を行うのがベストです。

もし、依頼者側の場合は、土地家屋調査士に立会いを委任して、
代理人として立ち会ってもらうことも可能です。

なお、土地の所有者の調べ方については、
土地の所有者を調べる3つの方法」で、
くわしく解説しています。

境界点や境界線と思う所を主張すること。

現地に境界標が設置されている場合は、
その境界標が境界点であることに間違いないか確認します。

また、現地に境界標が設置されていなくても、
境界点の現地復元性のある地積測量図などを基に、
土地家屋調査士が境界点を現地で示した場合には、
その境界点で間違いないかを確認すると良いです。

なぜなら、法務局に土地の地積測量図が備えられていたり、
過去に地籍調査事業や区画整理事業が行われていれば、
それらの図面を基に、境界点を復元するのが基本だからです。

境界の復元と費用については、
境界標を復元するには?復元方法と費用の目安」や、
境界標や境界杭の復元方法と復元費用」を参照下さい。

そして、それらの図面で確定している境界点を、
個人の都合などで動かすということはできません。

そのため、土地家屋調査士が示す境界点について、
その根拠の説明を受けて、納得できれば、
その点を境界点として認めると良いです。

ただ、現地に境界標がなく、境界点の根拠になる図面や、
現地復元性のある図面も無い場合もあります。

そのような場合には、現地にあるブロック塀や、
擁壁など構造物の占有状況、
各土地所有者の証言などが特に重要になってきます。

そのため、境界に関することで知っていることは主張し、
境界点や境界線と思う所を根拠と共に主張して、
隣地所有者とお互い納得することが大切です。

越境物には注意すること。

具体的には、木の枝や、建物の屋根、雨樋など建物の附属物、
コンクリート構造物などの越境物です。

地面から目の高さ辺りまでの越境物については、
普通は気付くかもしれません。

しかし、高い木の枝や、建物の屋根、建物の附属物など、
人の目線よりも高い位置の越境物は、
見過ごしてしまうこともあります。

また、地面に斜めに入り込んでいるコンクリート壁なども、
地中ではどこまで入り込んでいるかわからないため、
部分的に地面を掘って、構造物の先端を確認しておくと良いです。

ただし、各境界点および境界線についての立会い確認と、
越境物の問題は、別問題であることを理解しておく必要はあります。

特に、現地に境界標が設置されている場合や、
復元能力のある地積測量図などの図面がある場合には、
土地境界線の立会いでは、示されている境界点の確認ということになります。

その場合、越境物があっても無くても、
境界点や境界線の位置を動かすといったことはできません。

しかし、現地に境界標が設置されていない場合で、
復元能力のある地積測量図などの図面もない場合には、
ブロック塀や擁壁などの構造物の占有状況、
関係土地所有者の人証などで、総合的に境界を判断することになります。

特に、そういった場合には、越境物に注意して、
あとあと問題が起きないように、
境界の確認を行うと良いということです。

署名や押印は、確認した境界に納得した上で行うこと。

測量図面付きの境界確認書(筆界確認書)や、
立会証明書、隣接境界線証明書には、
立会時に確認した各境界点及び境界線に納得した上で、
署名や押印を行うことに注意が必要です。

境界確認書

なぜなら、土地所有者がそれらの書面に署名押印した場合、
将来に渡って境界が確定してしまうからです。

特に、測量図面付きの境界確認書(筆界確認書)は、
一般的に、第三者に所有権を移転した後も、
その内容が引き継がれます。

そのため、境界確認書などに署名押印を依頼された場合には、
立会いで確認した内容と一致しているかどうかも確認した上で、
署名押印をするようにしましょう。

もし、境界確認書や測量図面などの内容で不明点などがあれば、
署名押印を依頼してきた土地家屋調査士に、
遠慮なく聞くと良いです。

土地家屋調査士であれば、できるだけわかりやすく、
根拠と共に説明してくれるはずだからです。

なお、境界確認書については、
境界確認書とは?土地境界確認書に署名すべき?」で、
くわしく解説しています。

立会いに来た土地家屋調査士を信頼すること。

土地家屋調査士は、中立な立場で境界確認を行い、
できるだけ信頼のおける図面や資料、構造物、証言などから、
妥当な境界の判断を行うことができる国家資格者です。

土地家屋調査士

そして、境界点の復元性のある地積測量図や、
地籍調査成果図、区画整理に関する図面などがある場合には、
図面に基づいた境界点及び境界線を示すこともできます。

そのため、立会いに来た土地家屋調査士を信頼して、
わからないことや疑問点などがあれば、
土地家屋調査士から説明を受けると良いでしょう。

ただし、現地に境界標がなく、
地積測量図などの図面や資料も無い場合には、
現地の構造物の占有状況や土地所有者の証言などにより、
所有者間での話し合いになるケースもあります。

なお、土地の境界線の立会い手順と注意点については、
土地境界線の立会いの手順と注意点」で、
くわしく解説しています。

境界立会とは何か、土地の境界立会には行くべきかについては、
境界立会とは?土地の境界立会には行くべき?」を参照下さい。

土地の境界線を調べる方法については、
土地の境界線を調べる3つの方法」で、
くわしく解説しています。

スポンサーリンク