境界標の見方で大事なことは、
境界標は、基本的に境界点を示したものであることと、
各境界標の境界点と境界点を結んだのが境界線になることです。
そして、境界標にはどこが境界点になるのかがわかるように、
次の4つのいずれかのマークがあります。
十字のマーク | 矢印のマーク | T字のマーク | 一本線のマーク |
これらのマークは、常に境界点の位置を示していて、
境界標の設置状況によっては、
境界線の方向と一致していることもあります。
そのため、境界標にあるマークを見れば、
どこが境界点になるのかが正確にわかるということです。
たとえば、矢印のマークが境界標にあれば、
基本的に、矢印の先端が境界点になります。
しかし、境界標によっては、
矢印の先端が境界点にならない場合もあるので注意が必要です。
そこで、各境界標のどこが境界点になるのか全てわかるように、
土地の境界確定業務を行っている土地家屋調査士が、
境界標の見方についてくわしく解説いたします。
土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:土地の境界確定や不動産の表示登記全般。
経歴:開業以来21年間、土地の境界確定など登記関係業務を行っています。
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この記事をすべて閲覧することで、
境界標の見方やどこが境界点なのかがすべて正確にわかります。
それでは、境界標のどこが境界点になるのか実例を交えながら、
それぞれ見ていきましょう。
なお、この記事の内容は、下記の動画でも無料で何度でもご視聴いただけます。
金属標・コンクリート杭・石杭のどこが境界点?
まず、金属標(きんぞくひょう)、コンクリート杭、石杭が、
境界標として設置されている場合、一般的に、
次の4つのいずれかのマークがあります。
十字のマーク | 矢印のマーク | T字のマーク | 一本線のマーク |
上記のマークが境界標にあれば、
金属標でも、コンクリート杭でも、石杭でも、
境界点がどこになるのかの判断は同じです。
次の4つは境界標にあるそれぞれのマークの実例です。
十字のマーク | 矢印のマーク | T字のマーク | 一本線のマーク |
それぞれのマークのどこが境界点になるのかを、
順番に解説していきます。
まず、十字のマークがある境界標は、
通常、十字の交点が境界点になります。
下図1は、金属標に十字のマークがある境界点の実例です。
下図2は、コンクリート杭に十字のマークがある境界点の実例です。
下図3は、石杭に十字のマークがある境界点の実例です。
ただし、常に十字のマークの交点が境界点というわけではありません。
なぜなら、下図4のように、
境界標の上に鋲が打たれている場合は、
鋲の中心が境界点になるからです。
杭の上に鋲が打たれていれば、
境界点は鋲の中心になると覚えておきましょう。
次に、矢印のマークがある境界標は、
矢印の先端と、境界標の角(又は先端)が一致している場合は、
矢印の先端が境界点になります。
下図7は、金属標に角矢印のマークがある境界点の実例です。
下図8は、金属標に上矢印のマークがある境界点の実例です。
しかし、面取りなどの理由で、
矢印の先端と境界標の角(又は先端)が離れている場合は、
矢印の先にある境界標の角(又は先端)が境界点になります。
下図9は、面取りされたコンクリート杭で、
矢印の先端と、境界標の角(又は先端)が離れている実例です。
下図10は、面取りされた石杭で、
矢印の先端と、境界標の角(又は先端)が離れている実例です。
他にも特殊な例として、 境界点に境界標を設置できない場合は、
下図のような「矢印マークと〇〇cm先の数値入りの金属標」を、
境界点から少し離れた位置に設置することもあります。
この場合、矢印の先端から矢印の方向に、
数値分先の点が境界点になります。
以上のように、矢印マークがある境界標については、
細かい知識を持って、
境界点がどこなのかを正確に判断する必要があるのです。
次に、T字のマークがある境界標は、
T字交点の境界標の先端が境界点になります。
下図11は、十字が刻まれていますが、
赤色でT字マークがあるコンクリート杭の実例で、
境界点の位置だけでなく、境界線の方向も示しています。
次に、一本線のマークがある境界標は、
境界点というよりも、
境界線の方向を示しているものになります。
以上、金属標、コンクリート杭、
石杭が境界標として設置されている場合、
各境界標の見方と、どこが境界点になるのかを解説致しました。
金属鋲・プラスチック杭のどこが境界点?
金属鋲が境界標として設置されている場合は、
下図12のように、鋲の上にある十字の中心が境界点になります。
プラスチック杭が境界標として設置されている場合は、
下図13のように、杭の上にある十字の中心が境界点になります。
ただし、下図のように、
プラスチック杭の上に金属鋲が打たれていれば、
その金属鋲の中心が境界点になることに注意が必要です。
以上、金属鋲、プラスチック杭が、
境界標として設置されている場合、
どこが境界点になるのかを解説致しました。
境界標の見方で注意すべきことは?
下図14のような矢印のマーク入りの境界標を見たとき、
「矢印の方向が境界線の方向だ」と勘違いする方がいます。
しかし、実際の境界線の方向は次のとおりです。
境界標の矢印の方向と、
実際の境界線の方向は違っています。
下図15の実例も、境界標の矢印の方向と、
実際の境界線の方向は異なり、
矢印の先端が境界点であることを示しているのみです。
たしかに、境界標の矢印の方向が、
境界線の方向と一致することもありますが、
一致していないこともあるのです。
境界標は、あくまで境界点の位置を示すものになります。
ただ、下図16の実例のように、境界点の位置を示すと共に、
境界線の方向と一致させて、
境界標を設置することもあるわけです。
下図17の実例も、境界標の矢印の方向と、
境界線の方向を一致させて設置しています。
そのため、境界標に矢印がある場合には、
あくまで境界点を示しているもので、
境界線の方向と一致している場合もあれば、
一致していない場合もあると理解しておくと良いでしょう。
ちなみに、プラスチック杭やコンクリート杭の十字マークも、
十字の方向が境界線の方向と一致している場合もあれば、
一致していない場合もあります。
まとめ
境界標を見る際に一番大事なことは、
境界標は境界点を示しているものであり、
各境界標の境界点と境界点を結んだ線が境界線になることです。
そして、境界標は4つのマークによって、
境界点がどこになるのかを示しています。
十字のマーク | 矢印のマーク | T字のマーク | 一本線のマーク |
ただし、矢印のマークについては、
このページでくわしく解説してきましたように、
矢印の先端が境界点にならない特殊な例があるので注意が必要です。
なお、境界標とは何かについては、
「境界標とは?土地家屋調査士が解説!」で、
くわしく解説しています。
もし、境界標が現地に設置されていれば、
境界が確定していると言えるのかについては、
「境界標があれば、境界は確定してる?実は…」を参照下さい。
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