この記事の監修者

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:土地の境界確定や不動産の表示登記全般。

経歴:開業以来21年間、土地の境界確定など登記関係業務を行っています。
土地家屋調査士のプロフィールはこちら

お隣の土地など、土地の所有者が誰なのかを知りたいけど、
何をどうやって調べれば良いのかわからない、
という人も多いのではないでしょうか?

土地の所有者を調べる方法としては、
次の3つの方法があります。

  1. 近所の住人の情報から土地の所有者を調べる。
  2. 土地の登記情報などを取得して土地の所有者を調べる。
  3. 土地家屋調査士などに依頼して土地の所有者を調べる。

上記1の近所の住人の情報から土地の所有者を調べる方法は、
交通費などを除いて、通常、無料で行えますが、
確かな情報とまでは言い難いです。

逆に、上記2の土地の登記情報などを取得して、
土地の所有者を調べる方法なら、
手数料など費用は少しかかりますが、
土地の所有者を自分で正確に調べることが可能と言えます。

ただ、登記情報などに載っている土地の所有者が、
すでに亡くなっていたり、住所が変わっている場合には、
上記3の土地家屋調査士などに依頼して、
土地の所有者を調べる方法が良いかもしれません。

この記事では、土地の所有者を調べる3つの方法について、
土地の境界確定業務を行っている土地家屋調査士が、
それぞれくわしく解説いたします。

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この記事を全て閲覧する事で、無料の方法から有料の方法まで、
土地の所有者の調べ方がすべてわかります。

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近所の住人の情報から土地の所有者を調べる。

土地の所有者を調べる1つ目の方法は、
所有者を調べたい土地の近所の住人から情報を得る方法です。

近所の住人の情報から土地の所有者を調べる。
(近所の住人の情報から土地の所有者を調べる。)

近所の住人の方でしたら、土地の所有者が誰なのか、
どこにいるのかなどを知っていることもあるからです。

この方法は、交通費などを除いて、通常、
費用はかからず無料で行えますが、
多少なりとも時間と労力がかかるのがデメリットで、
結局、土地の所有者が分からないこともあります。

しかし、所有者を調べたい土地の近所には、
親類が住んでいたり、付合いのある方が住んでいる事もあり、
そういった方と接触できて情報を得ることができれば、
土地所有者の現在の居場所まであっさりとわかることもあるのです。

ただし、土地の所有者というのは、通常、
法務局で管理している土地の登記記録に、
土地の登記名義人として記録されている人のことになります。

そのため、土地の所有者を正確に知りたい場合は、
土地の登記情報などを取得して、
土地の登記名義人の住所と氏名を確認しておくことが大事です。

もし、土地の登記情報などを確認しなかった場合、
所有者と思われた人が、実際は土地の登記名義人ではなかった、
といったことになってしまうこともあるからです。

土地の登記情報などを取得して土地の所有者を調べる。

土地の所有者を調べる2つ目の方法は、
土地の登記情報などを取得して、
土地の所有者を調べる方法です。

まず、土地の登記情報というのは、
法務局で管理している土地の登記記録のことです。

法務局にある土地の登記情報から土地の所有者を調べる。
(法務局にある土地の登記情報から土地の所有者を調べる。)

法務局で管理している土地の登記記録は、
法務局で登記事項証明書、又は登記事項要約書といった書面で、
1通数百円の手数料を支払えば、誰でも発行してもらえます。

また、ネット上の登記情報提供サービスというサイトでも、
初期登録作業が必要になりますが、手数料などを支払えば、
登記情報を取得することが可能です。

土地の登記情報などを取得して、土地の所有者を調べる方法は、
土地の所有者とは全く関係のない他人であっても、
取得手数料など費用は少しかかりますが、
誰でも正確に調べることができる方法になります。

土地の所有者を調べたことが、
その所有者に知られることも無いので安心です。

ただ、所有者を調べたい土地の地番を、
正確に特定しておくことが前提となります。

そこで、土地の登記情報などを取得して、
土地の所有者を調べる具体的な方法を、
次の1から2の手順で簡単に解説致します。

1.土地の地番を特定する。

最初に土地の地番を特定する理由としては、
法務局の土地の登記記録は、土地の地番毎に記録されている為、
土地の地番が不明であれば、登記情報などを取りようがないからです。

また、土地の地番と思っていても、
土地の住居表示の場合があるので、
土地の地番と住居表示の違いには注意が必要になります。

住居表示の例
(住居表示の例)

土地の地番と住居表示の違いは、
何番何号といった号が最後に付くかどうかです。

何番何号といった号が最後に付くのは、
土地の地番ではなく、
土地の住居表示と覚えておくと良いでしょう。

それでは、土地の地番を特定する方法ですが、
具体的には、主に次の方法があります。

  • 公図を取得して地番を特定する。
  • 土地を管轄している法務局に電話で地番を確認する。
  • ブルーマップを見て地番を特定する。

まず1つ目は、法務局又はネット上の登記情報提供サービスで、
下図1のような公図を取得して、
土地の位置関係で隣地の地番を調べる方法です。

公図の例
(図1:公図の例)

ご自分が所有している土地の隣地を調べたい場合など、
地番がわかっている土地の隣地の場合には、
公図を取得して、隣地の地番を調べる方法が良いです。

なぜなら、ご自分の土地の公図を取得すれば、
字が異なる場合以外、上図のように、
隣地の地番もすべて記載されているからです。

そのため、公図に記載されている土地の形状や、
東西南北の位置関係から、隣地の地番を特定できるわけです。

次に2つ目ですが、
所有者を調べたい土地の住居表示がわかっていれば、
土地を管轄している法務局に、その住居表示を伝えて、
地番を特定する方法があります。

土地の住居表示が正確にわかっていれば、
法務局もその土地の地番を、電話で教えてくれるからです。

ただ、この方法は、所有者を調べたい土地の住居表示が、
正確に分かっていることが前提となります。

次に3つ目ですが、
下図のようなブルーマップを見て、
地番を特定する方法があります。

ブルーマップのイメージ
(ブルーマップのイメージ)

ブルーマップというのは、住宅地図上に、
土地の地番も青文字で重ねて記載されている地図のことで、
所有者を調べたい土地の箇所を地図上で見れば、
土地の地番が分かる仕組みになっています。

ブルーマップは、所有者を調べたい土地の地域の図書館や、
管轄の法務局に、通常、備え付けられていますので、
誰でも無料で見ることができます。

また、インターネット上でも、
無料でブルーマップを見れるサービスもあるので、
そちらを利用しても良いでしょう。

なお、土地の地番の調べ方については、
地番の調べ方:土地の地番を調べる5つの方法」で、
くわしく解説しています。

2.土地の登記情報などを取得して所有者を確認する。

所有者を調べたい土地の地番が特定できれば、
法務局の窓口で、下図2のような土地の登記事項証明書、
又は登記事項要約書を取得します。

土地の登記情報の例
(図2:土地の登記情報の例)

インターネット上の登記情報提供サービスを利用して、
土地の登記情報を取得してもかまいません。

なお、土地の登記事項証明書や登記情報を取得するには、
土地の地番が正確にわかっていないと取得できないので、
その点は注意が必要です。

土地の登記情報などを取得できれば、
権利部(甲区)の所有権に関する事項を見て、
土地の所有者の住所と氏名を確認します。

普通は、ここに記載された住所と氏名の方が、
土地の所有者になります。

ただ、登記情報などに記載されている土地の所有者が、
実際はすでに亡くなっていたり、
現住所や氏が変わっている場合もあります。

その場合は、土地の所有者を調べる3つの方法の内、
1つ目の近所の住人の情報から土地の所有者を調べる方法や、
次に解説します3つ目の土地家屋調査士などに依頼して、
土地の所有者を調べる方法を検討されると良いでしょう。

ちなみに、費用は多少かかりますが、
ネットで不動産の登記情報などのラクラク取得代行」で、
登記情報などの取得代行を利用する方法もございます。

土地家屋調査士などに依頼して土地の所有者を調べる。

土地の所有者を調べる3つ目の方法は、
土地家屋調査士などに依頼して、
土地の所有者を調べる方法です。

土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)というのは、
登記情報などの取得や、土地の表示に関する登記、
境界に関することを業務にしている国家資格者のことです。

土地家屋調査士
(土地家屋調査士)

もし、隣地との境界に関する目的で、
隣地の土地の所有者を調べたいということであれば、
土地家屋調査士に依頼する方が正確で安心です。

土地家屋調査士であれば、隣地の所有者の調査はもちろん、
現地の調査測量から、必要であれば、
隣地の土地所有者との境界立会いなども行ってもらえるからです。

もし、土地の登記上の所有者が亡くなっている場合でも、
境界確認などが目的なら、土地家屋調査士であれば、
亡くなっている方やその相続人の戸籍等を取得して、
相続人の住所や氏名なども調べてもらえます。

ただし、その場合は、境界の確認や境界立会などを含めて、
土地家屋調査士への依頼が必要になります。

逆に、境界の確認や境界立会などを依頼しないで、
相続人の調査だけを依頼しようとしても、
土地家屋調査士は業務として受けることができません。

つまり、土地の所有者を調べたい目的によって、
土地家屋調査士の業務であったり、
その他の士業の業務であったりするわけです。

いずれにしましても、依頼内容に応じて費用はかかりますので、
土地の所有者を調べることだけを依頼するのかなど、
具体的に何を依頼するのかを事前に伝えて、
可能かどうかと、費用も確認してから依頼すると良いでしょう。

ちなみに、土地の地番を調べる方法については、
地番の調べ方:土地の地番を調べる5つの方法」で、
くわしく解説しています。

土地の境界線を調べる方法については、
土地の境界線を調べる3つの方法」を参照下さい。

土地の境界線を地積測量図を見て、
ご自分で調べる方法については、
土地の境界線を地積測量図で調べる方法」をご確認下さい。

また、土地の境界の立会い確認については、
土地境界線の立会いの手順と注意点」で、
くわしく解説しています。

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