土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:土地の境界確定や不動産の表示登記全般。
経歴:開業以来21年間、土地の境界確定など登記関係業務を行っています。
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土地の境界線の立会いで、隣地所有者に来てもらう場合、
立会いに来てくれた隣地所有者にお礼が必要かどうかや、
お礼の相場がよく分からない、
という人も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、土地境界線の立会いのお礼について、
土地の境界確定業務を行っている土地家屋調査士が解説致します。
この記事をすべて閲覧することで、
土地境界線の立会いのお礼について知りたいことが分かります。
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土地境界線の立会いのお礼は必要?
土地の境界線の立会いは、今回、
境界の確認が必要な土地所有者だけでなく、
隣地所有者にとっても、境界が明確になるという点で、
お互いにメリットがあると言えます。
なぜなら、立会後に測量図面付き境界確認書を作成して、
土地所有者と隣地所有者がお互いに署名・押印することで、
将来に渡って境界が確定することになるからです。
そのため、隣地所有者は、今回決まった境界線については、
調査や測量などの高い費用をかけることなく、
境界線を確定させることができるメリットがあるのです。
そこで、土地境界線の立会いは、お互いメリットがあるから、
お礼は特に必要ないのでは、という考え方もあります。
しかし、お互いメリットがあるとはいえ、
隣地所有者の立場から見れば、今、手間と時間を取ってまで、
境界線の立会いや確認などをする必要性はないとも言えます。
今、それをする必要がないと思っている人に対して、
こちらの都合で時間を取ってもらいたいというのであれば、
多少なりともお礼はしておいた方が無難です。
特に、遠方から現地まで来ていただく場合には、
交通費や、手間と時間もそれなりにかかります。
また、土地境界線の立会いだけでなく、
後日、境界確認書などへの署名・押印もお願いする場合は、
少なくとも2回は、時間を取っていただく必要があります。
人によっては、忙しい中、時間を取って立会いに出向いたのに、
何もお礼がないため、書類に署名・押印するのは気が進まない、
といったことになるかもしれません。
測量図面付きの境界確認書(筆界確認書)に、
お互いの署名・押印が必要な場合に、
隣地所有者が応じてくれないと困ることになります。
逆に、多少なりともお礼をしておくことで、
土地境界線の立会いだけでなく、
その後の境界確認書への署名・押印についても、
お互い気持ちよくスムーズに進む可能性が高くなると言えます。
ただし、境界の立会いには、道路管理者や、
農道水路の管理者など、役所の担当者が来ることもありますが、
その方達には、通常、お礼は特に必要ありません。
そういったことを総合的に考えれば、
多少なりとも何らかのお礼は必要ですし、
お礼をした方がうまくいく可能性が高くなると言えるのです。
なぜなら、役所の担当者は、土地境界線の立会い自体が、
役所の業務内容の1つだからです。
さらに、役所の担当者に来てもらう際には、
立会願いといった公的な手続き書類を提出する必要があり、
その際に、一筆につき数百円程度ですが、手数料を支払うからです。
ちなみに、隣地所有者が県外に住んでいて、
なかなか現地立会いに来れないといった場合があります。
その場合には、隣地所有者が現地に来られる日程をお聞きして、
近い内に現地立会いに来られる便があるようなら、
その時に土地境界線の立会いを行って、お礼をすることもあります。
ただ、その場合の交通費については、
こちらが特に出す必要はないでしょう。
逆に、隣地所有者が県外等かなり遠方で、現地に来る便もなく、
土地境界線の立会いのために、わざわざ来ていただく場合には、
相手にもよりますが、立会料という名目で、
一般的な交通費も含めて、お礼をした方が良いかもしれません。
しかし、境界の立会いを進める土地家屋調査士にもよりますが、
県外などかなり遠方に住んでいて、
現地立会いに来ることができない隣地所有者に対しては、
現地の写真や、測量図面など、文書の郵送によるやり取りで、
相手の了承を得て、境界の確認などを行う場合もあります。
その場合、境界確認書(筆界確認書)を作成する予定であれば、
最初の挨拶文書で、境界のご確認後に、
測量図面付きの境界確認書まで作成することも伝えます。
ただ、最初に測量図面付きの境界確認書も一緒に同封して、
境界に問題なければ、そのまま署名・押印をいただく、
といったケースもあります。
そして、境界確認書を作成することで、隣地所有者にとっても、
費用がかからず境界確定ができる大きなメリットがあることも、
最初の挨拶文書で同時に伝えると良いです。
なお、県外などかなり遠方に住んでいて、
現地立会いに来られない隣地所有者へのお礼は、
特に必要ないでしょう。
境界の立会いのお礼は何が良い?
境界の立会いに、こちらの都合で貴重な時間を取っていただき、
わざわざ出向いていただくのですから、
相手に失礼のないものが良いです。
具体的には、菓子折り、お米、タオルなどの品物や、
現金または商品券でも良いでしょう。
これらの品物や、現金又は商品券の中から、
隣地所有者との関係性なども考えて、
一番良いと思うものを、立会いのお礼の品にすると良いです。
ただ、物でお礼するのも良いですが、
お礼する際の感謝の気持ちと、態度の方が大事と言えます。
そして、渡すタイミングとしては、立会いが終わった直後、
立会いが無事に終了したお礼と共に、
お礼の品をお渡しするのが一番良いかもしれません。
なお、後日、測量図面付きの境界確認書(筆界確認書)に、
署名・押印をいただく予定であれば、
お礼をする際に、そのことも伝えておくと良いでしょう。
土地境界線の立会いのお礼の相場
土地家屋調査士も立会う場合は、
立会いに来ていただいた方に、土地家屋調査士からも、
何らかのお礼をすることもあります。
たとえば、土地所有者の方から依頼を受けて、
土地境界線の立会いについて、
代理人として委任を受けた場合などです。
当所の場合、境界の立会いに来ていただいた隣地の方には、
一軒につき一律1,000円または2,000円を封筒に入れて、
立会料として、立会い終了時にお渡しするようにしています。
これは、立会いに来ていただいたお礼ですが、
後日、測量図面付きの境界確認書(筆界確認書)にも、
署名・押印をしていただくこともあるからです。
隣地に住んでいる方でも、遠方から来られる方でも、
金額には差を付けずに、立会料として、
一律同じ金額をお渡ししています。
なぜなら、あまり金額に差をつけてしまうと、
あの人はいくらもらった、
自分はこれだけしかもらってないなど、
不公平感を感じさせてしまうと良くないからです。
ただ、立会いのお礼として、いくら渡さないといけない、
といった法律や決まりはないので、相手にもよりますが、
どんなに多くても5000円程度までと思われます。
立会いの時間や、書類への署名・押印作業などを考えれば、
立会料として、1,000円~2,000円程度受け取って頂き、
お礼をするのが適切と考えます。
そういったこともあるため、
隣地所有者への立会いのお礼については、
立会いに来る土地家屋調査士とも、
事前に打合せ、又は相談しておくと良いです。
なぜなら、依頼した土地家屋調査士から隣地所有者に、
立会料などのお礼をするのであれば、
土地所有者からは、お礼の品は特に必要ないと考えられるからです。
なお、土地境界線の立会いの流れや注意点については、
「土地境界線の立会いの手順と注意点」で、
くわしく解説しています。
まとめ
- 境界立会いのお礼はした方が無難で、うまく進みやすい。
- 境界立会いのお礼としては、菓子折り、お米、
タオル等の品か、立会い料として現金または商品券が良い。 - 境界立会いのお礼の相場は、1軒1,000円~2,000円が適切で、
どんなに多くても5,000円程度まで。
なお、土地境界線の立会い時の注意点については、
「土地境界線の立会い時の7つの注意点」を参照ください。
土地境界線の立会いの手順と注意点については、
「土地境界線の立会いの手順と注意点」で、
くわしく解説しています。
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