境界標は、自分で勝手に設置してはいけませんし、
お隣の人が勝手に設置してもいけません。

ただ、境界標を勝手に設置するとどうなるのかや、
勝手に境界標を設置されたけど、
どうすれば良いのかわからないという人も多いのではないでしょうか?

この記事では、境界標を勝手に設置するとどうなるのかと、
境界標を勝手に設置されたらどうすれば良いかを、
土地の境界確定業務を行っている土地家屋調査士が、
くわしく解説いたします。

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この記事の監修者

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:土地の境界確定や不動産の表示登記全般。

経歴:開業以来21年間、土地の境界確定など登記関係業務を行っています。
土地家屋調査士のプロフィールはこちら

境界標を勝手に設置するとどうなる?

片方の土地の所有者が境界標を勝手に設置すると、
隣地の所有者と境界をめぐるトラブルにつながるおそれがあります。

なぜなら、民法223条では、
「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、
境界標を設けることができる。」とされています。

つまり、境界標を設置する場合には、
隣地の所有者と協力して行うことができるということです。

そのため、隣地の所有者と境界について話し合い、
お互いの境界を明らかにした上で、
境界標を設置するのが一般的なのです。

もし、隣地の所有者の承諾を得ずに、
境界標を勝手に設置した場合、
刑法235条の2の不動産侵奪罪(ふどうさんしんだつざい)になりかねません。

刑法第235条の2(不動産侵奪)
他人の不動産を侵奪した者は、10年以下の懲役に処する。

“刑法第235条の2 – Wikibooks”

どういうことかと言えば、
隣地の所有者の承諾を得ずに境界標を勝手に設置した場合、
隣地の土地の一部を奪っていると見られることがあるということです。

つまり、境界標を勝手に設置してしまうと、
隣地所有者と境界をめぐるトラブルになる可能性だけでなく、
不動産侵奪罪にあたる可能性もあるのです。

そのような理由からも、
境界標を自分で勝手に設置することなく、
隣地所有者の承諾を得てから設置した方が良いと言えます。

境界標を勝手に設置されたらどうすれば良い?

境界標を勝手に設置されたという場合には、
次の2つのケースがあります。

  1. 隣地所有者のあなたの承諾を得ずに、
    勝手に境界標を設置されたケース。
  2. 元々あった境界標を取り外して、
    別の所に勝手に設置されたケース。

それぞれのケースについてどうすれば良いのか解説致します。

1.隣地所有者のあなたの承諾を得ずに、
境界標を勝手に設置されたケース

この行為をされた場合、勝手に設置した人は、
不動産侵奪罪(ふどうさんしんだつざい)にあたる可能性があります。

刑法第235条の2(不動産侵奪)
他人の不動産を侵奪した者は、10年以下の懲役に処する。

“刑法第235条の2 – Wikibooks”

なぜなら、隣地所有者の承諾を得ずに、
境界標を勝手に設置した場合、
隣地の土地の一部を奪っていると見られることがあるからです。

ただ、境界標を勝手に設置されたからと言って、
勝手に取ったりしないで、
お近くの土地家屋調査士に相談されることをお勧めします。

もし、その土地に関係する地積測量図または境界確定図があり、
境界点の復元が可能であれば、正しい境界点を復元して、
お互いが確認した後、その境界点に境界標を設置する方法もあるからです。

逆に、地積測量図や境界確定図が無ければ、
隣地所有者と話し合い、
正しい境界点を確認する流れになります。

2.元々あった境界標を取り外して、
別の所に境界標を勝手に設置されたケース

この行為をされた場合、境界標を勝手に設置した人は、
上記の刑法第235条の2の不動産侵奪罪だけでなく、
刑法第262条の2の境界損壊罪にあたる可能性があります。

刑法第262条の2(境界損壊)
境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法第262条の2 – Wikibooks

もし、隣地所有者が故意に境界標を取り外した証拠があれば、
告訴するということも考えられますが、
誰が取り外したのか証拠がない場合は、
隣地所有者と話し合って境界点を確認すると良いです。

また、その土地に関係する地積測量図または境界確定図があり、
境界点の復元が可能であれば、境界点を復元して、
お互い確認してから境界標をもとの位置に設置する方法もあります。

なお、境界点の復元については、
境界標を復元するには?復元方法と費用の目安」を参照下さい。

いずれにしましても、
ご自分の判断で境界標を勝手に動かしたりしないで、
お近くの土地家屋調査士に相談されることをお勧めします。

なぜなら、境界標を勝手に設置された・動かされたと言って、
その境界標を勝手に取り外したり、動かしたりすると、
今度はご自分が上記の境界損壊罪にあたる可能性があるからです。

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