この記事の監修者

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:土地の境界確定や不動産の表示登記全般。

経歴:開業以来23年間、土地の境界確定など登記関係業務を行っています。
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「土地の境界確定測量、費用はいくらかかる?」
「35万円から80万円程度が、費用の相場?」
「それとも、100万円を超えることもある?」
「なぜ境界確定測量に、そんなに費用がかかるの?」
「土地売却の境界確定測量費用は、誰が負担する?」
「土地の境界確定測量の費用を抑える方法は?」

この様に、土地の境界確定測量の費用がいくらか分からないし、
費用が高くなるケースや、費用を抑える方法も知りたい、
という人も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、境界確定測量の費用について、
疑問や悩みをすべて解決できるように、
土地の境界確定業務を行っている土地家屋調査士が解説致します。

この記事では、土地の売却・境界問題・相続のそれぞれに必要となる、
境界確定測量の費用相場と、費用を抑える方法がわかります。

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境界確定測量の費用、相場はいくら?

土地売却の境界確定測量の費用は、土地の面積や形状、
官民境界の有無、隣接する土地の数、境界標の設置状況、
都市部や田舎など土地の地域によって、費用の相場が変動します。

そして、これらの変動要因の内、土地の面積と官民境界の有無が、
境界確定測量の費用に、比較的大きな影響があるのです。

そこで、土地の面積と、官民境界の有無ごとに、
ざっくりにはなりますが、境界確定測量の費用の相場を見てみましょう。

土地の面積が約50坪程度で、官民境界がある場合

まず、土地の面積が約50坪というのは、約165㎡に相当します。

官民境界というのは、国や地方公共団体が所有、
又は管理している土地との境界のことです。

たとえば、市区町村の道路又は県道、若しくは国道、
法定外公共物の里道又は水路などに接している境界のことです。

そして、土地の面積が約50坪程度で、官民境界がある場合、
境界確定測量の費用の目安は、
約40万円~60万円程度になります。

約40万円~60万円程度といった値幅がある理由は、
道路との官民境界がある場合と、
法定外公共物の里道又は水路との官民境界がある場合とで、
費用に大きな違いがあるからです。

道路との官民境界がある場合は、
道路の所有者または管理者との境界確認が中心で、
費用は比較的安く、約40万円程度が目安です。

しかし、法定外公共物の里道や水路との官民境界の場合は、
里道や水路の幅で境界を確定することになり、
里道や水路の所有者又は管理者だけでなく、
対面地の所有者との境界確認も必要になります。

そのため、通常、道路よりも関係する土地所有者の数が増え、
資料作成や境界立会いなどの調整に多くの労力が必要となるため、
費用が高くなり、約60万円程度が目安です。

土地の面積が約50坪程度で、民民境界のみの場合

まず、土地の面積が約50坪というのは、約165㎡に相当します。

また、民民境界のみの場合とは、
個人や法人の私有地のみと接していて、
公道や河川などの公共用地と接していない状態の土地を指します。

このような条件の場合の境界確定測量費用の目安は、
約30万円~40万円程度です。

この費用には、土地家屋調査士への依頼費用、測量費、
境界標の設置費用などを含みます。

また、公共用地との境界確定が必要な場合に比べると、
行政とのやり取りや、多くの書類作成が不要になるため、
一般的に10万円〜20万円程度安くなります。

ただし、土地の形状が複雑な場合や、境界の確認点の数、
または隣接する私有地の所有者の数が多い場合、
隣地所有者との境界立会いの調整に時間がかかる場合、
土地の地域などによって、費用が目安より増減する可能性はあります。

土地の面積が約100坪程度で、官民境界がある場合

まず、土地の面積が約100坪というのは、約330㎡に相当します。

官民境界というのは、国や地方公共団体が所有、
又は管理している土地との境界のことです。

たとえば、市区町村の道路又は県道、若しくは国道、
法定外公共物の里道又は水路などに接している境界のことです。

そして、土地の面積が約100坪程度で、官民境界がある場合、
境界確定測量の費用の目安は、
約50万円~80万円程度になります。

約50万円~80万円程度といった値幅がある理由は、
道路との官民境界がある場合は、約50万円程度となり、
法定外公共物の里道又は水路との官民境界がある場合は、
約80万円程度になるためです。

道路との官民境界がある場合は、
道路の所有者または管理者との境界確認が中心になるため、
費用は比較的安く、約50万円程度が目安です。

しかし、法定外公共物の里道や水路との官民境界の場合は、
里道や水路の幅で境界を確定することになり、
里道や水路の所有者又は管理者だけでなく、
対面地の所有者との境界確認も必要になります。

そのため、通常、道路との境界確認よりも、
関係する土地所有者の数が増え、
資料作成や境界立会いなどの調整に多くの労力が必要となるため、
費用が高くなり、約80万円程度が目安になるのです。

ただし、土地の形状が単純か複雑かどうかや、
確認すべき境界点の数、対面地の所有者の数、
亡くなっている隣地所有者の有無などによって、
費用が目安よりも増減する可能性はあります。

土地の面積が約100坪程度で、民民境界のみの場合

まず、土地の面積が約100坪は、約330㎡に相当します。

民民境界のみとは、隣地がすべて個人や法人の私有地であり、
公共用地と接していない土地を指します。

このような条件での境界確定測量費用の目安は、
一般的に約40万円~50万円程度です。

この費用には、土地家屋調査士への依頼費用、
測量費用、境界標の設置費用などが含まれます。

公共用地との境界確定が必要な場合に比べて、
行政とのやり取りや、多くの書類作成が不要になるため、
一般的に10万円〜30万円程度費用が安くなります。

ただし、土地の形状が単純か複雑かどうかや、
確認が必要な境界点の数、隣地所有者の数、
相続関係などによって、費用が目安から変動する可能性があります。

土地の面積が100坪を超える場合

土地の面積が100坪(330㎡)を超えて、150坪(495㎡)、
200坪(661㎡)、300坪(991㎡)と広くなるにつれて、
基本的に、境界確定測量の費用も、面積に比例して高くなります。

しかし、単純に面積だけに比例するわけではありません。

なぜなら、境界確定測量の費用は、
次に列挙するすべての要因によって変動するからです。

  • 土地の面積
  • 官民境界の有無
  • 確認すべき境界点の数
  • 隣地所有者の数
  • 平坦地か、又は山林など高低差のある土地か
  • 都市部の土地か、農村部の土地か、山間部の土地か
  • 依頼する土地家屋調査士

そのため、土地の面積が単純に、倍になったとしても、
境界確定測量の費用も倍になるわけではありません。

しかし、上記の境界確定測量の費用の変動要因の中でも、
特に、土地の面積と、官民境界の有無は、
費用に大きな影響を与えます。

たとえば、土地の面積が150坪(495㎡)で、
公共の道路や、里道又は水路などの官民境界がある場合、
境界確定測量の費用は、約70万円~90万円程度が目安になります。

土地の面積が200坪(661㎡)で、公共の道路や、
里道又は水路などの官民境界がある場合、
境界確定測量の費用は、約90万円~110万円程度が目安です。

土地の面積が300坪(991㎡)で、公共の道路や、
里道又は水路などの官民境界がある場合、
境界確定測量の費用は、約120万円~150万円程度が目安です。

ただし、土地の状況によっては、上記の目安より安くなる場合も、
さらに高くなる場合もあります。

そのため、より正確な費用を知るには、
現地調査に基づいた見積もりを、
土地家屋調査士に依頼することが不可欠です。

なお、隣地所有者の中に亡くなっている人がいる場合には、
相続関係者の戸籍をすべて取得して、戸籍内容の調査を行い、
相続人全員を確定し、通常、相続人全員に対して、
境界確認を行う必要があるため、目安よりも費用が高くなる可能性があります。

なぜ境界確定測量に、そんなに費用がかかる?

境界確定測量に費用がかかる理由としては、
まず、境界確定測量の流れと作業内容を、次のように、
概略的にでも把握していただくのが、一番良いかもしれません。

  1. 法務局や市区町村役所で、境界に関する資料の調査作業
  2. 境界確定測量が必要な土地及び隣地の現地事前調査作業
  3. 境界に関する資料がある場合、現況測量や復元測量作業
  4. 官民境界がある場合は、立会申請書類の作成と提出作業
  5. 隣地所有者へ境界立会いのお願い文書作成と案内作業
  6. 隣地所有者と現地で境界立会い作業
  7. 現地の各境界点に、境界標を設置する作業
  8. 現地で全境界標及び基準点などの測量作業
  9. 測量後、各境界点及び基準点のXY座標値の計算作業
  10. 境界確認書などの境界確定書類の作成作業
  11. 境界確定書類へ隣地所有者の署名押印を頂く作業
  12. 境界確定図(確定測量図)の作成作業

上記の各作業は、誰でもすぐにできる作業ではなく、
土地家屋調査士でも、1つの作業に数時間~数日かかる作業で、
専門的な知識をもとに、抜かりや誤りのない適切な対応が必要な作業です。

特に、隣地所有者との境界に関する合意形成や、
官民境界の確認には、多くの時間と労力がかかります。

つまり、専門的な知識と高度な技術が必要で、
かつ手間と時間がかかる作業であるため、
土地の広さや隣地の数、官民境界の有無などによって費用が高額になるのです。

土地売却の境界確定測量の費用負担は、売主?買主?

土地の売却における境界確定測量の費用の負担については、
法律で明確に定められた決まりはありません。

しかし、一般的には、土地の売主が土地の買主に対して、
正確な境界を示す義務となる境界明示義務を負っているため、
売主が費用を負担することが一般的です。

ただし、この費用負担は、法律で決められている訳ではないため、
買主が特定の測量を強く要望した場合や、
売主と買主との間で交渉があった場合など、
売買契約の交渉によっては、買主が負担することもあります。

そのため、売主の義務か、買主の要望かなど測量の必要性や、
誰が土地家屋調査士に依頼したのかといったことも、
費用負担者を決める判断材料となります。

境界確定測量の費用を抑えるための3つの方法

境界確定測量の費用を抑えるには、次の3つの方法があります。

  1. 境界立会を依頼した隣人と共同で測量する:
    隣地所有者から境界立会を依頼された場合、
    その測量業者に自分の土地の測量も依頼することで、
    新規の依頼よりも値引きが期待できます。
  2. 複数の土地家屋調査士に見積もりを依頼する:
    確定測量は高額になることがあり、
    複数の土地家屋調査士から見積もりを取ることで、
    適正価格を把握し、費用を抑えることができます。
  3. 事業者の場合は、自治体の補助金制度を活用する:
    測量費用の一部を補助する自治体の制度の有無を、
    地元の自治体等に問い合わせて、
    利用できる制度がないか確認すると良い場合があります。
    (出典:地籍整備推進調査費補助金「都市部で500㎡以上が条件」

以上、境界確定測量の費用について解説いたしました。

なお、境界確定とは何か、境界確定の費用については、
境界確定とは?境界確定の費用はいくら位?
でもくわしく解説しています。

確定測量とは何か、境界確定測量は必要かについては、
確定測量とは?境界確定測量は必要?」をご参照下さい。

また、土地の売却に境界確定測量は必要なのかについては、
土地の売却に境界確定測量は必要?」で、
くわしく解説しています。