この記事の監修者

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:土地の境界確定や不動産の表示登記全般。

経歴:開業以来23年間、土地の境界確定など登記関係業務を行っています。
土地家屋調査士のプロフィールはこちら

「土地の境界線を確認しておきたい」
「お隣から土地の境界線を確認して欲しい知らせがあった」
「隣の土地との間に、境界を目視で確認できるものが無い」
「杭があるけど、土地境界線の目印の杭かを確認したい」

このような理由で、土地の境界線の確認をしたいけど、
どうすれば良いのかわからない、
という人も多いのではないでしょうか?

そこで、この記事では、土地の境界線を確認する方法について、
土地の境界確定業務を行っている土地家屋調査士が解説致します。

この記事をすべて閲覧する事で、土地の境界線を確認するには、
どうすれば良いかがすべてわかります。

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土地の境界線を確認する方法

土地の境界線を確認するには、次の1~4の順番で進めると良いです。

  1. 土地購入時の境界確定書類で、土地の境界線を確認する。
  2. 地積測量図などによって、土地の境界線を確認する。
  3. 現地の境界標を探して、土地の境界線を確認する。
  4. 隣地所有者と境界立会を行い、土地の境界線を確認する。

なぜ、この順番で行うのが良いかと言えば、
土地の境界線を確認する作業というのは、境界について、
できるだけ確かな根拠を集める作業になるからです。

そのため、まずは、土地の購入時の境界確定書類を確認して、
地積測量図なども確認し、現地にある境界標も確認した上で、
隣地所有者にも、境界線を確認するといった方法で進めると良いのです。

それでは、具体的に何をどうすれば良いのかを、
上記1~4の順番に解説いたします。

1.土地購入時の境界確定書類で、土地の境界線を確認する。

土地購入時の境界確定書類というのは、
具体的には、下図1のような境界確認書、
又は隣接境界線証明書などのことです。

境界確認書のイメージ
(図1:境界確認書のイメージ)

土地の購入時には、通常、売買契約書や権利証など、
いくつか書類を受け取りますが、その中でも、
隣地所有者の署名押印された境界確認書や隣接境界線証明書等、
境界確定書類を受け取っている場合があるからです。

ただし、境界確定書類をもらっていない場合もあり、
先祖の土地を相続した場合には、そもそも、
境界確定書類は、何も無いということもあります。

逆に、境界確認書又は隣接境界線証明書があれば、
土地の各境界点の座標値や、境界線、辺長、境界標の種類、
境界標の写真などが、通常、添付図面に記載されているため、
土地の境界線を確認できる根拠資料となります。

たとえば、境界標の種類や、境界標の写真があれば、
現地でそれらの境界標を探してみて、
各境界標の点間距離を、巻き尺などで現地で実際に測って、
境界線の辺長と一致しているかなどにより、土地の境界線を確認できるのです。

また、境界確認書や隣接境界線証明書が無くても、
下図2のような境界確定図又は地積測量図がお手元にあれば、
それらの資料も境界確定書類となります。

境界確定図のイメージ
(図2:境界確定図のイメージ)

土地の境界線の確認方法は、先程と同じで、
現地に設置されている各境界標の点間距離を巻き尺で測り、
図面に記載の各境界点の点間距離と、
1cm程度以内の誤差で一致しているかを、確認してみるのです。

もし、現地に設置されている各境界標の点間距離と、
境界確定図など境界確定書類に記載の点間距離が、
1cm程度以内の誤差で一致していれば、現地の境界標は、
土地の境界点及び境界線になるという根拠の1つになるのです。

2.地積測量図などによって、土地の境界線を確認する。

地積測量図というのは、下図3のような図面のことです。

地積測量図の例
(図3:地積測量図の例)

過去に、分筆登記または地積更正登記などを行っていれば、
通常、法務局に提出されている図面になります。

地積測量図は、1通につき数百円の手数料を支払えば、
法務局又はネットで、誰でも取得できる図面です。

なお、地積測量図とは何かと、見方や取得については、
地積測量図とは?地積測量図の見方と取得」で、
くわしく解説しています。

ただ、土地によって、XYの座標法による地積測量図の場合や、
三斜法による地積測量図の場合があり、そもそも、
地積測量図が法務局に無い土地もあることに注意が必要です。

XYの座標法による地積測量図の見方と注意点は、
地積測量図の見方と注意点:XY座標の測量図編」をご参照下さい。

三斜法による地積測量図とは何かやその見方については、
土地境界線の立会や確認時に古い地積測量図を見る際の注意点
でくわしく解説しています。

もし、土地の地積測量図を入手できた場合は、下図4のように、
各境界点に境界標の記載があるかどうかを確認します。

地積測量図に記載の境界標を確認する例
(図4:地積測量図に記載の境界標を確認する例)

境界標として記載されるのは、通常、下図5のような金属鋲や、
金属標又は金属プレート、プラスチック杭、
コンクリート杭、石杭が一般的です。

金属鋲、金属標、プラスチック杭、コンクリート杭、石杭の実例
(図5:金属鋲、金属標、プラスチック杭、コンクリート杭、石杭の実例)

どの境界点に、どんな境界標が設置されているのかがわかれば、
現地で境界標を探す際の手がかりになるからです。

そして、境界標の記載がある各境界点の点間距離も、
確認しておきます。

境界標の記載がある各境界点の点間距離を図上で確認してから、
現地で、境界標と境界標の点間距離を巻き尺などで測り、
現地と図面上の距離が、1cm程度の誤差で一致していれば、
現地にある境界標は、境界点であるという根拠になるからです。

現地の境界標と境界標の点間距離を巻き尺などで測って確認する
(現地の境界標と境界標の点間距離を巻き尺などで測って確認する)

なお、地積測量図に境界点の座標値が記載されていても、
下図6のように、境界標の種類は記載されていない場合もよくあることです。

地積測量図に境界標の種類の記載がない例
(図6:地積測量図に境界標の種類の記載がない例)

地積測量図に境界標の種類の記載が無い場合、
通常であれば、現地に境界標は設置されていませんが、
稀に、何らかの境界標が設置されている場合もあるため、
念のため、本当に境界標が設置されていないかを、現地で確認します。

現地の境界点に、境界標が設置されていないと確認できれば、
通常、そこから先の作業をご自分で進めるのは難しいため、
お近くの土地家屋調査士に復元測量を依頼して、下図のように、
現地の境界点に、マーキングや仮杭で印を入れて復元する方法があります。

(現地の境界点へのマーキングの例)
現地の境界点への仮杭設置の例
(現地の境界点への仮杭設置の例)

なぜ、マーキングや仮杭なのかと言えば、復元測量の際、
いきなり、金属鋲や金属標などの境界標を設置するのではなく、
隣地所有者に、マーキング又は仮杭で復元した境界点の位置や、
境界標の設置の同意を得た上で、境界標を設置する方が良いからです。

また、法務局に地積測量図が備わっていない場合でも、
過去に地籍調査事業や土地区画整理事業を行っている場合には、
通常、事業を行った市町村役所で、
土地の境界点や基準点の座標値などを管理しています。

地籍調査によって設置された境界標の例
(地籍調査によって設置された境界標の例)
土地区画整理の例
(土地区画整理の例)

そのため、事業を行った市町村役所の担当課で、
土地の各境界点の座標値や、基準点の座標値、
設置されている境界標の種類などの情報を取得して、
現地を確認する流れになるのです。

もし、現地に境界標が設置されていなければ、
お近くの土地家屋調査士に復元測量を依頼し、
現地の境界点にマーキング又は仮杭などで印を入れてもらい、
境界点や境界線を確認すると良いです。

(土地家屋調査士)

なお、境界標の復元方法や復元費用については、
境界標を復元するには?復元方法と費用の目安」で、
くわしく解説しています。

境界標や境界杭の復元方法と復元費用については、
境界標や境界杭の復元方法と復元費用」をご参照下さい。

3.現地の境界標を探して、土地の境界線を確認する。

土地の境界確認書、又は隣接境界線証明書、
若しくは地積測量図、地籍調査事業などの測量図面の内、
どれか1つでも入手できれば、測量図面に記載の境界標を、
巻尺などを使用して、現地で探してみると良いです。

具体的には、地積測量図等に記載されている境界標の種類と、
境界標と境界標との点間距離や、基準点との点間距離を、
地積測量図に記載の辺長の数値やスケール読みで確認した上で、
巻尺などを使って、現地で境界点の辺りを探してみるのです。

巻き尺
(巻き尺)
巻き尺
(巻き尺)

地積測量図などに境界標の記載があれば、
少なくとも、図面を作成した当時は、
境界標が設置されていたはずだからです。

ただ、地積測量図の作成や地籍調査事業などを行ってから、
かなりの年数が経過している場合、
何らかの工事によって、境界標が無くなっている場合もあります。

また、地積測量図や、地籍調査事業などの資料には、
下図7のように、境界標の記載が無い場合もあり、
実際、現地に境界標を設置していないこともあります。

地積測量図に境界標の記載が無い例
(図7:地積測量図に境界標の記載が無い例)

しかし、現地に境界標が設置されていなくても、
土地の境界点の座標値と、基準点2点以上の座標値、
現地に基準点2点以上が残っていれば、
基本的に、境界点を現地に復元することが可能です。

基準点の実例1
(基準点の実例1)
基準点の実例2
(基準点の実例2)

ただ、現地で境界点を復元する作業については、
測量作業を伴いますので、ご自分では難しいため、
費用はかかりますが、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。

4.隣地所有者と境界立会を行い、土地の境界線を確認する。

現地で境界標を見つけることができたり、
地積測量図などによって境界点の復元ができれば、
隣地所有者と境界立会いを行い、
境界点及び境界線の確認を行うと良いです。

隣地所有者と境界立会いをして境界線を確認する
(隣地所有者と境界立会いをして境界線を確認する)

なぜなら、土地の境界線というのは、
地積測量図など境界の根拠になる書類資料だけでなく、
隣地所有者とも合意していて、同じ認識であってはじめて、
通常、境界が確定していると言えるからです。

逆に、土地の地積測量図や境界標など、
境界の根拠になるものが無い場合は、
隣地所有者と境界立会いを行い、
土地の境界線を確認することになります。

なお、境界立会いとは何か、境界立会いは行くべきかは、
境界立会とは?土地の境界立会には行くべき?」で、
くわしく解説しています。

土地の境界線の立会い時の注意点については、
土地境界線の立会い時の7つの注意点」をご参照下さい。

土地の境界線の立会い手順と注意点については、
土地境界線の立会いの手順と注意点」で、
くわしく解説しています。

土地の境界線を楽に確認する方法

ここまでは、できるだけご自分で、
土地の境界線を確認する方法についてお伝えしましたが、
多少費用がかかっても、楽に境界線を確認したいという場合は、
土地家屋調査士にすべてを依頼する方法もあります。

土地家屋調査士に土地の境界線の確認を依頼する
(土地家屋調査士に土地の境界線の確認を依頼する)

土地の境界線の確認を、土地家屋調査士に依頼した場合、
法務局や市区町村役所での境界確定書類の調査はもちろんの事、
現地での境界点及び境界線の調査・測量、
隣地所有者との境界立会いの依頼や境界確認まで、
すべて行ってもらえるからです。

ちなみに、土地の境界線を確認して確定させることを、
一般的に、境界確定とか、確定測量、境界確定測量と呼んでいます。

境界確定とは具体的に何をすることかや、その費用については、
境界確定とは?境界確定の費用はいくら位?」で、
くわしく解説しています。

確定測量とは何か、境界確定測量は必要かについては、
確定測量とは?境界確定測量は必要?」をご確認下さい。

土地の境界線の確認後は、何をすれば良い?

隣地所有者と土地の境界線の確認ができた場合で、
現地の境界点に境界標が設置されていなければ、
隣地所有者の同意を得た上で、境界標を設置すると良いです。

隣地所有者の同意を得た上で、現地の境界点に境界標を設置する
(隣地所有者の同意を得た上で、現地の境界点に境界標を設置する)

そして、法務局に地積測量図が無い場合や、
地籍調査事業や区画整理事業なども行われていない場合には、
境界確認書又は隣接境界線証明書を作成して、
隣地所有者に署名・押印を頂いておくと安心と言えます。

隣地所有者の署名・押印入りの境界確認書のイメージ
(隣地所有者の署名・押印入りの境界確認書のイメージ)

なぜなら、将来的に土地を売却する時や、
相続人が相続する時に、現地の各境界点に境界標があり、
各境界点の根拠になる地積測量図、境界確認書、
隣接境界線証明書のいずれかがあれば、
境界に関して、隣地所有者とトラブルになりにくいからです。

つまり、隣地所有者の署名・押印入りの境界確認書や、
隣接境界線証明書など境界確定書類を作成していれば、
土地の売買時や、相続人が土地を管理したり売却する際に、
通常、境界問題で困ることなく、安心して行えるということです。

以上、土地の境界線を確認する方法について解説いたしました。

なお、隣地所有者と境界立会をする時の境界確認方法は、
土地境界線の立会いの手順と注意点」で、
くわしく解説していますので、実際に隣地所有者と、
境界の確認をする時の参考にしていただければと思います。

また、土地の境界線を調べる方法については、
土地の境界線を調べる3つの方法」をご参照下さい。

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